2011年10月31日月曜日

受け技各種_2

本日は、太極拳の代表的な受け技『雲手(うんしゅ)』をご紹介しましょう。



ご覧の通り、雲手は両腕を外側に向かってぐるぐる回すのが基本です。

よって、その動きの質感は、空手の受け技のように『叩く』『砕く』というよりは、『こする』『そらす』『からめる』といったものがメインになります。

『叩く』『砕く』では相手の拳足(けんそく)を破壊するのが目的ですが、、『こする』『そらす』『からめる』では、相手の重心を崩すことが主な目的となります。もちろん、小手先で『こする』『そらす』『からめる』をやってしまっては、相手を崩すどころか、相手の技を受けることすらできません。なので、雲手に限らず、太極拳の技は全て腰(丹田)から発せられなければならないのです。

また、『こする』『そらす』『からめる』は、太極拳の専売特許ではなく、中国武術や日本の古武術にも広く見受けられるものです。

今後も折に触れてご紹介したいと思いますので、どうぞお楽しみに!

2011年10月26日水曜日

武器庫

弊社スタジオには武器庫なるものが存在します(笑)

もちろん小道具の武器を収める場所ですが、先日その整理をいたしました。



ぎゅうぎゅうに詰め込まれた武器達を、一旦全部外に出して、「いる物」と「いらない物」に仕分けします。なんだか小学生の頃の片付けみたいですね(笑)


どうです~?壮観でしょう?!

スタジオの歴史を感じます。

塾長も大工仕事が大好きなので、これからもカッコいい武器をバンバン作って、撮影に貢献していきますよ~!!

2011年10月22日土曜日

受け技各種_1

アクション講座、お次は『受け技(防御)』です。

受け技と一言で申しましても、(いつもの如く)種目や流派によって千差万別ありますから、今回は、空手をベースに私がアクション用にアレンジしたものをご紹介することにいたします。



アクションを観賞したり、または演じる際には、攻撃技ばかりに目がいきがちですが、上手い受け技があってこそ場面が引き締まるというものです。これからは、受け技の方も意識してご覧になるよう心がけてみてください。

<補足>
「パンチは脚で打つ」ということを強調してまいりましたが、受け技も全く同じ構造を持ちます。今回ご紹介した受け技は、(パンチと同じく)脚で床を蹴った時に生まれる反発力(抗力)を前腕に伝えています。でなければ、腕だけの力で相手の強力な蹴りを受けられるはずがありませんから(へし折られてしまいます/ 笑)

また、中国武術の受け技では、以前ご紹介した『丸まる腰』から生まれる力や、体幹をクネクネさせて作る『波の運動』を腕に伝える方法などもあります。

2011年10月17日月曜日

稽古報告_111008

あいや~!レポートが一週間も遅れてすいません!!

去る10月8日(土)、清田裕也・成瀬優子の二名を参加者に、アクター塾の稽古が行われました。

今回塾長が選んだテーマは『間合い感覚』。
そう、「あいつは間が悪いんだよな~」の『間合い』です(笑)

殺陣やアクションを演ずるに当たって、最も重要なものは間合い感覚だと塾長は思っています。そもそも、決められた振り付けがある『お芝居』なのですから、そこから外れるようでは、芝居が成立しないどころか相手に怪我をさせてしまうかもしれないからです。

なので、武道やアクションにおいても、その間合い感覚を養成するための稽古方法が必ず用意されているものです。いわゆる『約束組み手』というやつです。決められた、しかも単純な攻防の型を、二人組み(もしくは複数名)になって練習するものです。これを一通りこなせれば、ほとんどの人はその種目(流派)における間合いを身に着けることができるようになっています。

ところが、中には一筋縄ではいかない人もいて(笑)、これが指導する立場の者を悩ませるわけです。

「ここに止まってくれ」と言っても突っ込み過ぎてぶつかりそうになったり、「腕にパンチをくれ」と言っても顔面にパンチをよこしたり・・・(苦笑) 当人はいたって真面目なのに身体が思うように動いてくれないようなのです。

長い間俳優養成所などで指導してきた経験から、私は、「このような人達にとって、約束組み手で要求される間合いは大雑把過ぎるのだ」ということに気づかされました。

こういった人達には、もっと細かい、緻密な間合いを提供してあげなければならないのだと・・・

そこで思いついたのが、アクションの時間に太極拳の練習方法『推手(すいしゅ)』を導入することでした。

(↓ )推手の一例です。



ご覧の通り、推手は常に触れ合っていなければなりません。これは太極拳の独特な間合い(超接近戦)から必然的に生まれた攻防の練習方法なのですが、この『必ず触れていなければならない』という縛りが、練習者の間合い感覚を短期間で成長させてくれるのです。

例えば、『離れた間合いから打ち出されたパンチを上段受けで受ける』といったシチュエーションの場合、受ける側も攻撃する側も、意識すべき接点は互いの前腕が交差する一点のみです。

ところが、必ず触れていなければならないという制約の中では、接点は(丁寧にやればやるほど)アナログ的に無限に存在することになるのです。丁度CGアニメーションの編集で、身体に触れながら手を移動させるのが(女性キャラがボディラインをなぞる時など)えらい難儀なのと一緒です(笑)

意識すべき点、制御すべき身体のパーツが、一点で触れている時とは比べものにならないくらい増えるからです。

というわけで、塾長がこの方法を採用してからというもの、生徒さん達の間合い対する理解が格段に早くなったような気がします(特に、運動経験のあまりない女性の皆さんの)

それから私は、殺陣の剣捌きにも、何でもかんでも推手を応用するようになってしまいました(笑)



(アクターさんの)皆さんも是非、ご自身の練習に取り入れてみてはいかがでしょうか?

決まりなんてありません!途切れのない、流れるような動きであれば全てOKです!!後は、できるだけゆっくりと丁寧に行っていただければ、成果はみるみる上がることと思いますので。

2011年10月6日木曜日

マーカー作り

すっかり秋めいてまいりました・・・
皆様、いかがお過ごしでしょうか(笑)?

さてさて、我がキャプチャー班は、現在スタジオの備品整理などに追われております。春先から先月まで続いた撮影ラッシュにようやく一区切りがついたからで、次の波が来る前に、溜まってた仕事を一気に片付けてしまおうという作戦です(それにしても忙しかったなぁ~・・・皆さんの方はいかがだったでしょうか?)

さてさて、備品整理で一番重要なものは新しいマーカーを作ることです。



マーカーというのはアクターさん達の身体に着ける反射材のことで、これに赤外線を反射させ、それを幾つものカメラから捕らえて三次元の位置を割り出すというのですから、モーキャプの備品の中ではかなり重要な位置を占めるものです。

古くなって反射が悪くなったマーカーを使っているとデータにノイズが乗ったりしますからねえ。理想はいつも新品のピカピカを使いたいものです(笑)

また、市販もされているのですが、当スタジオでは手作りにこだわっています。アクションの多い撮影だと、アクターさん達がゴロゴロ転がったりしますから、できるだけそれに負けない強度のものを作りたいからです。


それでは早速、作り方をご説明していきましょう。

先ず材料ですが、本体となる部分は下の写真のようなスポンジ球を使用します。



次に、シート状で販売されている反射材を、細かく、テープ状に切り揃えます(これがまた大変!)



そうして、これらの反射テープを先程のスポンジ玉に根気よく貼っていきます。



ご覧の通り、恐ろしく細かい作業です(笑)

反射テープの裏面は粘着式になっていますので(しかも粘着力強し!)うっかり変なところに着けてしまうと、なかなか剥がれてくれません。無理して引っ張ろうものなら、柔らかい反射材がミョ~ンって伸びてしまって使い物にならなくなってしまいます。


そんな苦労の甲斐あって、ようやく一個のマーカーが完成しました!

「いいデータを撮らせてくれよ」と心の中で囁きかけます(笑)



本当はこの後、このマーカーを台座(マジックテープ)に貼り付ける作業が残っているのですが、マーカー作りの肝は『反射テープを、いかに皺なく、均等に貼り付けることができるか』ですので、ご説明はここまでとさせていただきます。

それにしても、この作業、本当に根気と手先の器用さが求められます。

それでは、超久々にモーキャプマン(モーキャプスタッフ)心得なんぞを・・・モーキャプマンにはクラフトマン魂が必要なり~~(笑)!!