2011年11月18日金曜日

作用反作用の法則

今回ご紹介する原理は『作用反作用の法則』です。

中国武術の型などでは、片手で剣を振りながら もう片方の腕を高く掲げたり、場合によっては片足を上げたりもします。あれは格好をつけているのでもなんでもなくって、そうした方が『剣を勢いよく振ることができる』からなのです。

物体が運動する際には、必ず反作用が生じるということは皆さんもご承知だと思いますが、身体を使った運動にも同じことがいえるのです。腕や脚を勢いよく動かすと、そこで生じた反作用は体幹(胴体)に向かいます。そこで体幹を固めてしまいますと、それがブレーキとなって、目的とする腕や脚の運動を鈍らせてしまいます。逆に、体幹を柔らかく使い、主たる運動をする腕や脚とは反対側の腕・脚にその反作用を逃してやれば、非常にスムーズに目的の運動を遂行することができるのです。

小難しいことを書きましたが、例えば皆さんが、歩いたり走ったりする時に腕を振らずに行ったとしたらどうでしょう?何か窮屈で、非常に歩きづらい、走りづらい感じがすることと思います。

そうです、この場合の脚の動きが『目的の運動』で、腕の振りは、そこから生じる反作用を解消する働きをしていたのです。

武術の場合はもっと複雑で、最初は、おそらく反作用の解消のためであったであろう腕・脚の上げが、長い年月の間に洗練され、攻撃と防御をも兼ね備えるようになってきました。例えば、剣の振りや拳の突きと一緒に上げられる脚には、相手の突き蹴りを防御したり、または積極的に相手を『蹴る』という意味が込められています。つまり『攻防一体』、もしくは、剣(拳)と脚による『同時攻撃』という意味合いです。



この原理は、先ほどの『腕を振らずに歩く・走る』のところでもご紹介しましたように、よくよく観察してみれば、私達の日常にも普遍的に見られる事柄です。

これからは、ご自分の日常の動作を意識的に感じてみてはいかがでしょうか?きっと素晴らしいアニメーションをお作りになれることと思いますので。

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