『腰の三態』の最後は『丸まる腰』です。
CGキャラのポージングでは『脱力系のキャラ』に多く見受けられる腰の構えです(JoJo 立ち?/ 笑)。 が、その運動における利点はあまり知られていないようです。
この腰構えの利点は『腕のリーチが長く使える』ということです。骨盤を丸めると、当然のことながら、それと連なる背骨も丸まろうとします。そうすると胸と腹が後ろに引かれ、いわゆる猫背のような状態になります。それは背中の筋肉をストレッチさせることに繋がり、その伸長力が前に差し出した腕をほんの僅かですが押しだす作用を生みだすのです。
ご覧のように、中国武術特有の『素早い腕の回転力』はこの腰構えから生み出されます(流派にもよりますが)。余談ですが、この時の腕を動かす動力は、腕そのものの筋力ではなく、後背筋などの背中の筋力が主ですので、演じている者の主観としましては『腕の力を抜けば抜くほど(余分な緊張をなくせばなくすほど)腕の回転力が上がる』と感じるものです。
また、一部の日本古流剣術にもこの腰構えが見受けられるようです。要するに、腕が長く使え(回転力も使え)、しかも急所である胸や腹部が敵から遠くにあるということが利点なのでしょう。
ただし、日常生活において注意していただきたいことは、この『丸まる腰』で重いものを持ったりしてはいけないということです。
『丸まる腰』は素早く強力な突きを生みだしはしますが、垂直方向からの荷重にはとても弱いものです。西洋式のウエイト・トレーニングにおいても『バナナ・バック』といって、やってはいけない腰の構えとされています。
デスクワーク中心の現代人は、自ずとこの『丸まる腰』になってしまいがちですが、先にも述べましたように、運動や日常の動作にはそれに適した腰の構えがありますので、いつも腰を柔らかくするよう心がけ(努力をし)、その動作に相応しい腰構えはどれかということを常に意識しながら日常を送ることをお勧めします。
次回は、『腰の三態の養成法』と『日常生活への応用の仕方』をお伝えしたいと思います。
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