2011年4月30日土曜日

アクション講座_骨盤体操_2

それでは、前回に引き続き『骨盤』の話をしましょう。

今日は特に骨盤の関節についてです。

「え?骨盤に関節なんてあるんかいな?!」って驚かれる方も多いと思いますが、そうなんです、実は骨盤にも関節があったんです。といいましても、肘や膝、ましてや首のように自由自在に回転するものではないのでご安心を(笑)

それでは早速ご説明いたしましょう。

骨盤の中央には仙骨という骨があります。両脇の蝶々の羽のような骨は腸骨といって、仙骨とは靱帯でつながれています。この三つが合わさった状態を骨盤といい、その繋ぎ目を仙腸関節というのです(イラスト)



さて、問題はここからです。

仙骨と腸骨のつなぎ目は靱帯(筋肉)ですから、稀にズレる場合があります。よくテレビの健康番組で「骨盤のズレは万病を引き起こす」などと紹介されているのは、正確には仙腸関節のズレのことを言っていたのです。



そして、「ズレる」ということは「動く」ということで、身体の使い方に習熟した人は、意識的に仙骨を動かして全身の動きに反映させることができるのです。

「ああ~、やっぱりキター!怪しい話だぁ~~!!」って引かないでください(笑)。これは何も特別なことではありません。例えば妊婦さんが赤ちゃんを出産する際には、この仙腸関節が左右に広がり、赤ちゃんが産道を通り易くしてくれるのです。

では運動にはどのような使われ方をしているのかを、手っ取り早く私の動きからご覧いただきましょう。

下の動画の後半部分、二刀流の場面で仙腸関節を使った動き(仙骨主動)をしています。



いかがでしょうか?「速過ぎてわけわかんない」ですよね(笑)

ですので、ちょっとだけ解説させていただきますと、相手が私の頭上に構えた棒を振り下ろし始めた瞬間、私も同時に仙骨を動かし始めています。そうして、仙骨から生まれた運動を背骨を通して上体に伝え、しかも加速し、その力によって先ず右の木刀で相手の棒を弾き上げ、すかさず左の木刀で相手の小手(手首)を斬り(実際は相手の手元の棒に当てています)、間髪入れずに右の木刀で相手の脇を斬っています。

そうなんです。速過ぎて『二手』に見えたかもしれませんが、実は『三手』の動きだったのです。しかも時間にして1秒もかかっていません。

このように、仙骨主動の動きというものは身体の中で動きを加速するために、それが表に現れた時点で(手足が動き出した時点で)そのスピードは最高速になっているのです。(通常の運動では、手足の速度は動き出しから徐々に加速されていきます)

しかも、身体の奥の奥で運動が起こっていますから表面から見て動き出しが見え難く(しかも袴を穿いているので尚更判りづらい!)敵にとって本当に厄介な動きだとは思います。

このような状態を形容する際に用いられる言葉として『タメの無い動き』・『気配のない動き』などがありますが、それらは空想の世界のことではなく、現実に存在するものだということを知っておいていただきたいのです。

ただし!!

タメも気配もなくってはアニメーションにはなりませんよね。私もアニメーターとしてこんなモーキャプデータを渡されても困ってしまいます(笑)あくまで、皆さんの運動への造詣を深めるネタとしてご利用ください。

さてさて、このように仙腸関節というものは高度なパフォーマンスには必要不可欠なものではありますが、それ以外でも、無意識的な使われ方においても非常に重要な役割を担っているのです。

それは、恒常的に我々が受けている『歩く』・『走る』などから生じる衝撃を吸収してくれているということです。健康な人はこの関節の靭帯が柔軟なため、ちょうど車のショックアブソーバーのような働きをしてくれているというわけです。(前回お話した骨盤のインナーマッスルと合わせればその効果は完璧です!)


というわけで、前置きが非常に長くなりましたが(笑)仙腸関節を柔軟にする運動をご紹介しましょう。

やり方は、床に脚を投げ出して座り(長座)、骨盤の動きだけで前進後退をするというものです(動画参照)



床に座るため、オフイスなどではやり難いとは思いますが、(ご自宅などで)機会を見つけて少しずつでも続けるようにしてみてください。

始めは何処に力を入れてよいか判らずに苦労をされると思いますが、これが楽々出来るようになった暁には柔らかな腰と溌剌とした健康を手に入れていることと思います。

よりよい健康も創作活動も 『腰が命』 ですからっ!!

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